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“免震”と“耐震”の違い 「国立西洋美術館」は“免震構造”

7月17日世界文化遺産に登録された「国立西洋美術館」は“免震構造”である。1959年に開館した時は旧耐震基準で建てられたが、阪神大震災のときに貴重な美術品を守るにはどうしたらいいか耐震対策が検討された。

従来の耐震建築では、柱を樹脂や鋼板で巻いて太くしたり、新たに構造壁を設けるなどする。だが、西洋美術館はコルビジェが「モデュロール」と呼ぶ人体のサイズを基にした独自の寸法で美術館を設計したので、柱や壁に変更を加えたら、コルビジェの考えに反することになる。

学識者の議論により、日本と同じように地震の多い米国西海岸で導入されていた「免震レトロフィット工法」を採用し、建物をいったん持ち上げ、基礎部分に免震装置を差し込むことになった。

新築ならまだしも、既存の建物の下に入れるのは国内では初のこと。だが、一級建築士の「前田紀夫」氏や清水建設の上席エンジニアの「秋山稔」氏らの慎重な工事の結果、現在の西洋美術館ができあがった。(7月19日 東京新聞・夕刊)

「耐震」と「免震」の違いはあまり認識されていないが、その違いは大きい。
建物自体の損壊を防ぐ点ではどちらも優れているが、「免震」の場合はさらに「建物内の揺れを軽減するという利点がある。基礎部分に埋め込まれた免震装置が「激しい地震エネルギーを吸収」→「ゆるやかな横揺れに変え、家具の転倒などの被害を最小限に食い止める」というもので、耐震・制震に比べ揺れを三分の一程度に抑えられる。(SUUMOから引用)

これで思い出すのは、再稼働された九州電力の川内原発である。規制委の審査の際に「免震施設の新設」を安全対策のメニューに盛り込み、その結果“合格”をもらったが、その後計画を撤廃し、「免震は造らず、耐震施設で済ます」と発表した。

その理由は「免震構造の原子力施設をつくった経験がなく、安全性を確認するための実証実験などで時間がかかる」ので、再稼働まで間に合わないとした。だが実際はコスト削減のために免震棟の建設を撤回したという説がもっぱらである。

これに対し、本来なら約束を裏切られた規制委は、即、審査合格を取り消すべきだが、「今回の計画には工夫が見られ、免震棟を建設しないことに対し、問題視しない」として、おとがめなしだ。

福島第一原発事故の際に、この免震棟があったおかげで事故を切り抜けたという話はよく知られている。2007年7月16日の新潟県中越沖地震は「M6.8」「震度7」であった。この時、柏崎刈羽原発、建屋内部の緊急時対策室が大損害を受けたため、その3年後に「柏崎刈羽」、「福島第一、第二原発」の緊急時対策室を“免震化”したのである。

工期の長さやコスト減のために軽々しく撤回した九州電力の浅はかさ。それでも再稼働を許した原子力規制委員会のいい加減さ。またこれを見過ごす国民と政府。安全より経済を優先させる国家体質は、日本人としてとても恥ずかしい。

今回、西洋美術館が世界遺産に指定されたのはその建築のすばらしさはもちろんのこと、まさにこの「免震構造」が美術品を守るために施工されたことが大きな要因になったと考えられる。それほど美術品は世界中の財産であるということなのだ。

戦後、経済の発展を第一に進めてきた日本という国。それとともに無視されてきた人間性や文化を取り戻す時ではないか?日本はその面で世界に大きく後れを取っていると思う。
セラヴィ ( 2017/10/30 22:51 )
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