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畠山重忠114

宇治橋の橋板はすでに外されていた。桁だけになった橋を、平山季重、熊谷直実と今回が初陣となるその伜、小次郎直家らが我こそ先陣の武功をあげんと、徒歩で渡っている。
 時折、後ろを振り返り、我が子直家に何事か声をかけている直実の姿が川辺に待機している重忠の目にちらりと映った。
 一本気な人柄の半面、子煩悩なところもあるのか、と微笑ましい気持ちも沸いてきた。
 が、それも束の間。川面に目を移せば、和田義盛らが相模湾沿岸から連れてきた泳ぎに長けた者たちが、熊手を手にして水に潜り、義仲軍が敷いていた乱杭や逆茂木、大綱、小綱を取り除いていた。水中で動きやすいようにと物の具を脱ぎ、まさに決死の作業である 。
しかしながら、近江の比良、志賀の山々の雪解け水のために、宇治川は増水し、流れもいつになく急である。
 これでは、とても水路、対岸に攻め込むのは困難である。かといって、板の外された橋をるだけでは、一度に攻め入る人数は限られ、二万数千の圧倒的な人員も活かせるはずがない。
 どうしても、騎馬でこの川を越えねばならない。が、今、無理に川を渡れば、弱い馬は溺れてしまう。人一倍、馬を思う重忠は憂いたが、以前、平知盛のもとに奉公したいた頃、高倉宮以仁王と源頼政の反乱を今回と同じく宇治川で鎮圧した時の平家軍の作戦を思い出した。この時は、六波羅の留守部隊にいた重忠は後になって聞いた話ではあるが:。
 いたたまれぬかのような表情で櫓から降りた義経の前に重忠は跪くと、
「恐れながら、申し上げます。先年、高倉宮様ご謀叛の折り、足利又太郎忠綱どのは、馬筏でこの川を渡られました。足利どのの郷里・下野には坂東太郎(利根川)が流れておりますが、この重忠も幼少の頃より、馬を何頭も並べて、荒川を渡る稽古を重ねて参りました。まして、こたびの戦、かくなることもあらんと鎌倉にて評定の上、馬も数多く用意しております。どうか馬筏の件、この重忠にお任せくだされ。早速、見参に入れましょう」
 胸を高鳴らせながらの具申であったが、義経は、
「よかろう。そこまで申すならば、手並みを見せてもらおうぞ」
「有り難きお言葉」
 一礼するや重忠は、川辺に控える和田義盛ら諸将に、
「殿原、これより馬に列を組ませられるよう。強き馬は上手、弱き馬は下手に致すことが肝要ぞ。深いところで馬の足が立たぬ時は、手綱を上げ、足が勢いづいたら、手綱をゆるめて泳がせ、激しい流れには逆らわずに、斜めに渡ること。」
 その時、ジャブジャブと水音が;。重忠の話にはまったく耳を貸さずに、生食に乗った佐々木高綱、摩墨に乗った梶原景季が川に乗り入れたのである。ともに頼朝から名馬を拝領したからには、先陣を果たさずば、と気負い込んでいた。
 生食、摩墨くらいの馬になれば、急流もものともしないはずであるが、それにしてもせっかちな人達だと重忠も苦笑を禁じ得ない。
「佐々木どの、梶原どのとて鬼神ではあるまい。馬筏を組ませば、必ず我等にも先陣の機あり。馬を弱らせぬためには、しっかりと息をつかせること。前の馬の尻輪(鞍の後輪)に、後ろの馬の頭を乗せて、息をつかせるのだ。」
 余りの急流にさしもの坂東武者たちも躊躇しがちではあったが、重忠の作戦に勇気づけられた。
 舎人たちは、重忠の指示通りに、強い馬から順に上流側へと牽いていった。
 重忠も自ら、馬の口を牽きながら、陣列の編成に努めた。
 この様子を背後から見ていた義経は、傍らの伊勢三郎に、
「畠山という男、初めて見た時は、幼いながら馬の心を掴んだ乗り方をしておったが、こうして見ていても、実に馬の扱いに長けているものよ。馬たちが素直に並んでいくではないか」
「この三郎、最後の馬泥棒をと畠山館に忍び込んだ時の馬を庇う重忠どのの真剣な眼差しが忘れられませぬな」
  馬筏の手本として先駆けたのは丹の党。宣化天皇の曽孫である多治比古王を祖として飛鳥・奈良朝では政界に威を振るった多治比氏の後裔と称する同族たちが連合した武士団で、重忠が股肱の臣と頼む榛沢成清もこの一族である。
 まるでラグビーのフォアードがスクラムを組むように並んだ馬たちが、冷たい雪解け水に溢れる宇治川に水しぶきを上げながら、足を入れはじめた。
 馬たちの先頭は重忠を乗せた鬼栗毛である。(続く)
菊池道人 ( 2014/02/08 22:00 )
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